故人が残した遺産を受けとることを相続といい、故人を被相続人、遺産を受け継ぐ人を相続人といい、相続できる親族の範囲は民法で定められており、これらの人を法定相続人と呼びます。

法定相続人であれば必ず相続が約束されているわけではなく、民法で相続の優先順位が定められている順位に従い遺産相続が決定します。

ただし、配偶者は、この相続順位とは関係なく、必ず相続人となることができます。

相続の順位

相続第1順位

  • 被相続人の子供(実子)や養子あるいは、内縁関係にある人の子供(非嫡出子)
  • 被相続人の孫
  • 被相続人の曾孫

ただし、子供、養子、非嫡出子が亡くなっているときだけ、孫に相続の権利があり、同様に、孫もすでに亡くなっているときだけ、ひ孫に相続の権利があります。(代襲相続)

相続第2順位

被相続人に子供、孫、曾孫がいないときは、被相続人の父母(直系尊属)が、遺産を相続します。

もし、父母が亡くなっているときは、被相続人の祖父母が、相続することになります。

相続第3順位

第1順位の直系卑属と、第2順位の直系尊属が誰もいないときは、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

また、その兄弟姉妹の中で子供を残して亡くなっているときは、その子供にも相続の権利があります。(代襲相続)

つまり、被相続人の甥(オイ)・姪(メイ)までは、相続が認められています。

※第1順位の人がいる場合は、第2順位、第3順位の人には、相続の権利はなく、同様に第2順位の人がいる場合は、第3順位の人には相続の権利はありません。

※婚姻の届出がされていない、内縁関係の妻の相続は認められていません。

※内縁関係の妻との子供(非嫡出子)は、第1順位の相続権が認められていて、以前まで相続分は実子の1/2となっていましたが、平成25年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立し、嫡出でない子の相続分が嫡出子の相続分と同等になりました。

非嫡出子の相続分につきまして詳しくは『法務省のホームページ』をご覧ください。

相続の流れ

相続手続には、さまざまな法律上のルールがあり、遺言書の有無や状況により必要な手続きや流れが異なります。

相続の流れ
多くの方が、何から手をつけてよいか戸惑われると思います。 先ずはお気軽にご相談下さい。

相続税の法改正

平成27年1月1日から相続税が法改正により大幅に変更になりました。
詳しくは相続税の平成27年改正

名義変更・返却手続・売却手続

相続による名義変更は約60種類以上あり、行政書士のみが手続代行できるものも多くあります。

車(バイク.トラクターなど)・農地権利・銀行口座・クレジットカード・電話加入権・携帯電話・証券(株券.社債券.手形.小切手.ゴルフ加入権など)・パスポート・運転免許証などから、役所で行う世帯主の変更・国民健康保険・後期高齢者医療・年金・障害者医療・乳幼児医療・ひとり親家庭等医療・介護保険・下水道使用料・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などの名義の変更・返還・売却を承っております。

相続の選択

原則、お亡くなり(相続開始)になった日から3ヶ月以内に意思表示をする必要があり、単純承認・限定承認・相続放棄の3つから選択しなければなりません。
詳しくは相続の選択

遺言執行

遺言の内容を具体的に実現する人を遺言執行者と言います。(遺言書で指名または家庭裁判所で選任が必要)

つまり、遺言執行者とは遺言書の内容・趣旨に沿い相続人の代理人として相談財産を管理し、名義変更など各種手続や書類作成など遺言の執行に必要な一切の行為を行うことになります。

なぜ選ぶのか?

遺言執行者のみで相談手続きできることも多く、手続きをするために必要な相続人全員から署名押印をもらうことが難しい場合には、遺言執行者を選んでおくことで遺言の内容を実現できるでしょう。

また、相続人以外の方に財産を渡したい時には遺言執行者を決めておいたほうが争いを防ぐためにも良いです。

実は、必ず遺言執行者が必要な事があります。

それは、

  • 子の認知をする。
  • 推定相続人の排除・排除の取消。

このように、いろいろな手続きがあり専門家を選任されたほうが良いでしょう。

遺産分割協議書作成

遺言書がない等の場合は、法定相続人全員で相続財産の分割内容を決める遺産分割協議をすることになります。

その協議の内容を「相続人全員の合意」ということで書面として形にしたものが遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は、法律上必ず作成しなければならないものではありません。

しかし!

不動産(土地・家屋など)の所有権移転の登記をする際には、遺産分割協議書が必要になるのです。

さらに、各機関(銀行など)での名義変更を行う場合に遺産分割協議書があると、とてもスムーズに手続を進める事ができます。

後々、相談人間での争いを防ぐためにも遺産分割協議書の作成をオススメします。

遺産分割協議書の効果

①相続人の拘束
一度、合意をしたら各相続人は遺産分割に異議を申し出ることはできなくなりす。

②対外的に相続人の合意を証明
名義変更等の手続きを行う場合には、遺産分割協議書の提示が必要になります。

※各機関により、必要な書類が異なります。

遺留分

遺留分とは、法定相続人の中でも被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に民法で認められている相続の権利です。

被相続人は遺言や生前贈与などで自分の財産を自由に処分できるのが原則ですが、その時に遺留分を侵害していた場合は遺留分の権利を持つ相続人が請求すれば遺留分を相続することができます。(遺留分滅殺請求)

遺留分は相続財産総額に対する割合で算定し、相続開始前1年以内の贈与や相続人に対しての特別受益なども加算されます。

遺留分の割合は…

  1. 配偶者のみまたは子のみの場合1/2
  2. 配偶者と子の場合配偶者1/4 子1/4
  3. 直系尊属(父母や祖父母など)のみの場合1/3
  4. 配偶者と直系尊属配偶者1/3 直系尊属 1/6

※複数人の場合はその人数で等分。

遺留分を返してもらう手続きは、まず、当事者間で話し合いを行います。もし、うまくいかない場合は家庭裁判所に「遺留分減殺による物件返還請求の調停申立書」を提出して、家庭裁判所による調停で解決することになります。

この申立は、相続開始のときから10年以内、あるいは相続の開始と遺留分の侵害を知ったときから1年以内であれば可能です。