建設業の許可申請には、非常に多くの書類を作成する必要があります。

申請書類の作成は、作成したことの無い方であれば苦労することになりますし、申請後は何度も補正を受けることになるかと思います。

そもそも申請要件を満たしているかどうかの判断に誤りがある可能性があります。

建設業許可取得は要件が満たせない場合は、いくら申請書に不備がなかったとしても許可を取得することが出来ません。

建設業許可の要件とは

建設業許可を取得するためには、4つの「許可要件」を備えていること、及び「欠格要件」に該当しないことが必要です。

許可要件

経営業務の管理責任者

経営業務の管理責任者としての経験がある者

建設業の経営は他の産業の経営とは大きく異なっているため、適正な建設業の経営を期待するために、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1名は必要です。

建設業許可を受けようとする者が法人である場合には常勤の役員のうちの1名が、個人である場合には本人または支配人のうちの1名が次のいずれかに該当することが必要で、これらの者を経営業務の管理責任者といいます。

  • 許可を受けようとする建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
  • 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
  • 許可を受けようとする建設業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかの経験を有していること。
    • 経営業務管の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
    • 7年以上経営業務を補佐した経験

法人の役員とは、次の者をいいます。

  • 株式会社又は有限会社の取締役
  • 指名委員会等設置会社の執行役
  • 持分会社の業務を執行する社員
  • 法人格のある各種の組合等の理事

※平成28年6月1日より新たに以下の者も追加されました。
取締役や執行役、業務を執行する社員に準ずる地位にあり、許可を受けようとする建設業の経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限の移譲を受けた執行役員など

※7年以上経営業務の管理責任者としての経験により、申請・変更する場合は、個別ケースごとに審査が行われることになります。

※経営業務の管理責任者の設置は許可要件のため、許可を取得した後に経営業務の管理責任者が退職し、後任が不在となった場合などあれば要件欠如で許可の取消しとなりますので、要件を満たす者を選任するなど、事前に準備しておくことが必要です。

解体工事業の新設に伴う経過措置

解体工事業の新設に伴い経過措置が設けられております。

平成28年6月1日以前のとび・土工工事業に関する経営業務の管理責任者としての経験は、解体工事業に関する経営業務の管理責任者としての経験としてもみなされます。

経営業務の管理責任者に準ずる地位における経験も同様となります。

専任技術者

専任技術者の設置

建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとしている建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。

請負契約締結、見積、入札等の建設業に関する営業は営業所で行われることから、各営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、専任技術者(一定の資格または経験を有した者)を設置することが必要です。

この専任技術者は、許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか特定建設業であるか、また建設業の種類により、それぞれ必要な資格等が異なります。

専任技術者は「営業所ごとに専任の者を設置」することとされているので、その営業所に常勤していることが必要です。

経営業務の管理責任者と同様に、専任技術者の設置も許可要件の1つであるので、許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合は許可の取消しの対象等になりますので、注意が必要です。

一般建設業の許可を受ける場合

A-1指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者

  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者

A-2指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者又は専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士若しくは高度専門士を称する者

  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後5年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後3年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者のうち、専門士又は高度専門士を称するもの

B許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者

C-1国家資格者

C-2複数業種に係る実務経験を有する者

特定建設業の許可を受ける場合

A国家資格者

B指導監督的実務経験を有する者
【一般建設業の許可を受けようとする場合】の専任技術者要件を満たしている者で、かつ、許可を受ける建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有している者

※指導監督的実務経験とは、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。

※指定建設業の許可を受ける場合は、このBの要件に該当しても許可は取得できません。(AまたはCのいずれかの要件を満たすことが必要)

C大臣特別認定者
指定建設業7業種に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した者

※指定建設業とは、施工技術の総合性、施工技術の普及状況、その他の事情等を勘案して定められた業種で、現在、次の7業種が指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)として定められています。

※指定建設業を受ける場合に設置しなければならない専任技術者はAまたはCの要件を満たすことが必要です。

※大臣特別認定者の特別認定講習及び考査については、指定建設業制度が導入された際に行われたものであり、現在は実施していません。

解体工事業の新設に伴う経過措置

解体工事業新設に伴う経過措置として、平成28年6月1日時点において現にとび・土工工事業の技術者に該当する者は、平成33年3月31日までの間に限り、解体工事業の技術者とみなされます。

誠実性

請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は、建設業を営むことができません。

許可の対象となる法人若しくは個人についてはもちろんのこと、建設業の営業取引において重要な地位にある役員等も同様です。

財産的基礎等

建設工事を着手するに当り、機械器具等の購入、資材の購入及び労働者の確保など、一定の準備資金が必要になります。

営業活動を行うにもある程度の資金を確保していることが必要です。

このため、建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎等を有していることを許可の要件としています。

さらに、特定建設業の許可を受ける場合は、この財産的基礎等の要件を一般建設業よりも加重されています。

《一般建設業》
次のいずれかに該当すること。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること

《特定建設業》
次のすべてに該当すること。
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4000万円以上であること

欠格要件

許可申請書またはその添付書類中に虚偽の記載があった場合、重要な事実に関する記載が欠けている場合、許可申請者やその役員等若しくは使用人が次に掲げるものに1つでも該当する場合には、許可が下りません。

  1. 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
  2. 第29条第1項第五号又は第六号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
  3. 第29条第1項第五号又は第六号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第12条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの
  4. 前号に規定する期間内に第12条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前60日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から5年を経過しないもの
  5. 第28条第3項又は第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  6. 許可を受けようとする建設業について第29条の4の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
  7. 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
  8. この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定(同法第32条の3第7項及び第32条の11第1項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法第204条、第206条、第208条、第208条の3、第222条若しくは第247条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から5年を経過しない者
  9. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者([13]において「暴力団員等」という。)
  10. 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものにかかる部分に限る)のいずれかに該当するもの
  11. 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第12条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第29条の4の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
  12. 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第29条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第12条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第29条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
  13. 暴力団員等がその事業活動を支配する者